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2013年3月25日月曜日

『リックのおへや』


作:どいかや
(のら書店 2008年 6月発行) 




 カンガルーの子ども、リックはママのポケットから一 度も出たことがありません。ある日、ママのポケットか らコロンと落ちたことをきっかけに、初めて外に遊び に行き、目を輝かせます。友達に誘われてお部屋 に遊びに行ったり、みんなでお花見をしたり...。そう して楽しんでいるところにママがお迎えにやってき ます。夢中になって遊ぶことを楽しんでいたリックですが、ママの姿を見つけるとリックはあっという間にポケットの中に跳び込んでにっこり。その笑顔からは“ママ、大好き!”と いうリックの気持ちとママのぬくもりに包まれた安心感が伝わってきます。
 子どもには皆必ず成長と共に色々なものに興味を持ち始め、少しずつ世界を広げていくという時期がやってきます。少し ずつ周囲に目が向くようになり、同時に行動範囲も少しずつ広がっていきます。この絵本の主人公リックの姿はまさにそん な時期の子どもの姿と重なります。沢山遊んで疲れた後はお母さんのもとで十分充電して、きっとまた楽しいことを見つけに 行くことでしょう。そうしてお母さんと興味のあることの間を行ったり来たりしながら自信をつけ、お母さんとの距離をだんだん と広げていくのでしょうね。親子の絆と穏やかな温かさが感じられるそんな素敵な絵本です。


保育士 小島真由美