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2016年7月1日金曜日

「”イヤイヤ”には創造性の種が眠っている?」


皆様の育児の参考にしていただけたらと、「育児のヒント」を記載しています。今回は、湘北短期大学保育学科 亀井 美弥子先生です。

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はじめまして。湘北短期大学の亀井美弥子と申します。発達心理学が専門で、授業では乳児保育などを担当しています。さて、その授業の準備で、当時2歳と数か月になる私の長女を映したビデオを見返す機会がありました。そうしたらまあ、そのひどいこと。

長女の Rが立体パズル(ファミレスのオマケの簡単なものです)と格闘しています。うまくパーツを組み合わせれば犬の形になるパズルです。

R : 「できないからおかあさんがやってよう~!!」 〔泣き始める〕 「ここはめてよう~こうやってやるのよう~」
 
私: 「お母さんが手伝ってあげるから。」

R : 「いやだ、いやだ!」

私: (自分でお母さんがやってっていったのに・・・) 「Rがやるの?いいよ、はい。」

R : 〔パズルを自分ではめて〕 「こうやってやるのよう!」

私: 「よかったね。それでよかったんでしょ?」

R : 「いやだ、いやだ~[] お母さんこれどうやってやるのよう~[]

私: 「(…)うーん、ワンワンはね…」

R : 「いやだいやだ、ねこちゃんつくりたいんだもん!ワンワン怖いよう」

私: (これは犬なんだけどなあ) 「いいよ、じゃあこれはねこちゃんね、作ろう…。」

私: 〔明らかにパーツの数が足りない〕 「うーん、これ2つないとできないんだよ。」

R : 「これはいい。いらない。」

私: 「でもこれ2つないとできないよ。」

R : 「いらない!!」 〔私が手渡したパズルをたたみに叩きつけるR

私: 「投げたりしないで!おもちゃがかわいそうでしょ?」

R : 「やだ!」 〔また投げる〕

私: (!!) 「なんでそんな悪い子するの?」

R : 「投げたいの!」 〔そのパーツを拾ってもっと遠くに投げるR

私: (えー?!ダメ押し?!)

 
なんとまあ、理不尽な最後の逆ギレの2度投げにはこちらも怒りを通り越して笑ってしまいました。でもこんなところが2歳さんらしいところかな、と思います。

1歳半ばごろから子どもは心の中にいろいろなことを思い浮かべられるようになってくるといいます。2歳前後の子どもが一生懸命大人のまねっこするのは、目の前のことだけでなく、前に見たり聞いたりした大人の姿を思い浮かべることができるようになったからです。それと同時期2歳くらいの子どもには、葉っぱをお皿にしたり、ただの空き箱を車にしたりといった、モノを別の何かに見立てる力も芽生えてきます。これらのことは、子どもが「目の前のこと」からほんの少し自由になったことを示しています。

私たち大人は目の前のことだけを考えていては生きていけません。もちろん、目の前の何かに没頭する時間も楽しいですが、昨日行ったお安い八百屋さんのことをお友達に話すにも、子どもの予防接種の段取りも、すべて目の前のことから離れて、過去や未来について、あるいはその場にいないモノや人について、自由にものを考えられるからできるのです。その意味で1歳なかばから2歳さんのまねっこや見立てる遊びやつもりの遊びは大人へほんの少し近づいた証しなのです。

さて、そんな2歳さん、1歳さんと違って自分でできることも増えてきて、ちょっと自信もついてきます。自分でやれることは自分でやりたいという年齢です。自分の行動についても、自分がやりたい、そうじゃない、という思いが出てきます。これも実は目の前のことから離れて別の状況や自分に思いを寄せる心の働きの芽生えと言えます。でも当然そこは大人のようにはいきません。2歳さん本人も「何かちがう」とは感じているのでしょうが、それを言葉にするにはまだ上手くしゃべれないし、物事のつじつまなんて関係ない年齢なので大人から見るとトンチンカン。大人が望むように時と場所に応じた「思い」の出し方・伝え方なんてできません。

そんな2歳さんのイヤイヤや要求は大人から見るとやっかいな行動です。ついイライラしてしまいますよね。でも、その子独自の「何か違う」という「思い」を表すという行動は案外大事なことかもしれません。「何かそれじゃないもの」に気づいて、自分独自の「思い」を実現する力を大人は創造性と呼びますが、子どもの要求やイヤイヤにはその子のオリジナルな創造性の種が埋まっていると考えることもできませんか?その「思い」を誰かに聞き取ってもらいながら、子どもは自分の「思い」は何なのか、どうすればこの「思い」をうまく伝えられるのか学び、その「思い」を実現する力を身につけていくのではないでしょうか。

いずれにしてもこの年齢、親子で格闘する日々かと思います。そんな中でも目の前のことから自由になれる大人の特権を生かして?一時だけでもわが子のイヤイヤを成長の一過程だと眺められる時間があるといいですね。ぜひ、ほっとれもんてぃでホッと一息ついてください。

亀井 美弥子
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