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2014年6月27日金曜日

『赤ちゃんと絵本のひととき』

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。 今回は、東京大学大学院教育学研究科教授 秋田 喜代美 先生です。

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赤ちゃんは、絵本が大好き。大好きなお母さんやお父さん、保育士が語りかけてくれる声に耳を傾け、目の前の絵と一杯関わるようになってきます。もちろん赤ちゃんにも活動の好みへの個人差があり、4か月頃から食い入るように見るお子さんもいればもっとゆっくりと興味を示し始める子もいます。昨今では電子絵本もいろいろ出回るようになってきました。でもぜひまずは紙の絵本との出会いの機会をと思います。電子のメデイアと紙メデイアでは物としての操作の仕方や物の質感も異なります。なぜなら物としての絵本から子どもたちが学んでいることがたくさんあるからです。

良質の絵本の絵の色彩や筆のタッチ、紙面構成の中で赤ちゃんはいろいろな発見をしています。絵本の絵と赤ちゃんがどのように関わっていくのかの育ちを見ると、物としての絵本との関わりが大事な意味を持っています。最初は絵本をつかむ、たたく、こする、口を近づけてみるなど、物としての絵に興味を示します。そして絵に対していろいろな探索行動をする時期があります。この物としての絵本の感覚から、次に絵本の頁をめくることや絵本の中のものと外界のものをつなげて探索し興味をしめすなど、とても大事な意味を持っています。最初は絵本の中のものへ、それから絵本と外のものとのつながりへ。そしてそこからまた絵本のお話の世界へと絵本の空間は移動していきます。それを知っておられると子どもが絵本と様々な関わりをしても、これが育ちとして見られると思います。

そして1歳半ころから親が指をさして語りかけるだけではなく、赤ちゃん自身が絵を指さすように変わってきます。

つまり、絵を対象としてさわろうとするところから、親と子で一緒に見て共有する物としての絵へと変化していくわけです。ブックスタートパイロットスタデイの共同研究をさせていただいた川村学園女子大学菅井洋子先生の最近の研究では、この赤ちゃんの絵への指さしからお母さんやお父さんがいろいろなことに気づかれる様子を示しておられます。たとえば「ちいさなねこ」という遠近法を使った絵本の絵では、手前の猫より奥の人が小さく絵が描かれていると、「ここにぶつかっちゃう?」とネコのしっぽの奥に書かれている人をみて言ったり、大きな木の絵が下の方が省略されているのをみると、その木を指して「とれちゃったの?」と尋ねたりしています。大人は絵本の絵の描き方の決まり事を知っていますが、赤ちゃんたちはそこに不思議を感じてつぶやいたりしています。そしてお母さんやお父さんのたちの方が、その思いがけない子どもの発見に『なるほど』と新たな発見をされるようです。絵本の絵には描き方にいろいろな特徴がありますがそれに気づいていかれるのもお子さんと一緒の場のようです。

絵本の絵に、子どもたちはどのように出会っているのかをよくみると、そこに確かな育ちのあゆみが見えてきます。1歳半ころから3歳頃までは絵本の主人公になりきって動いたり、絵本の絵とおなじものを見つけて持ってきたりするのが、3歳すぎになると絵本の絵だけに集中するようになってきます。そしてその中で子どもたちは知的な気づきだけでではなく、わくわく、どきどきさまざまな情動経験をしていきます。その情動経験を親子で共有することがとても大事と最近の脳科学では言われてきています。
絵本の絵は子どもにとって新たな世界を拓く窓です。何度もくりかえし絵を見て楽しむことで、新たな発見が生まれる時間をわずかでも楽しみたいですね。
                      
秋田 喜代美
 
 
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